WEBセミナーを開催するにあたりNPO法人NADI(地域診療情報連携協議会)理事長の瀧澤です。
私は遠隔医療や国際医療システムの研究開発に約12年ほど携わってきました。
この度、WEBセミナーを開催するにあたり、開催経緯を書かせていただきます。
(瀧澤のこれまでの紹介ビデオ)
開催経緯
我が国の在留外国人は約223万人(平成 27 年)、訪日外国人旅行者は1,974万人(平成 27 年)と近年著しく増加しており、2020 年に東京オリンピック・パラリンピックも控え、今後さらなる増加が予想されます。また、訪日外国人旅行者数については、「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」にて2020年:4000万人、2030 年:6000万人を目標としていて、今後、ますます日本語が話せない外国人患者が増えると予測されるます。
「
日本再興戦略」や「
健康・医療戦略」などには、外国人患者が安全・安心に日本の医療サービスを受けられる体制を充実させていくことが記載されています。
その為、厚生労働省では外国人患者受入れに関する環境整備を進めており、「外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)」の普及促進や医療通訳等の配置支援、院内資料の多言語化等の事業を行っています。
また、「観光立国実現に向けたアクションプログラム 2015」に基づき、観光庁、都道府県と連携して「
訪日外国人旅行者受入れ医療機関」を全国約320ヵ所選定する事業等を進めてきました。今後、2020 年までに、
外国人患者受入れ体制が整備された医療機関を 100 カ所整備することとしています。
このような背景のもと、日本における医療通訳サービスは会議通訳などのサービスと違い、専門的な要素が多く早期に体制を築く必要があると思っています。
また、医療通訳サービス提供は地域ごとのボランティアや友人家族によって聴覚言語障害者や外国人患者に医療通訳サービスが行われているのも現状です。
例えば、群馬県を例に挙げると聴覚言語障害者には、障害者総合支援法(意思疎通支援法)により、市町村の予算から手話通訳者に通訳料1時間@2,000円と交通費を支給しています。
しかし、外国人患者に対しての医療通訳には、群馬県と通訳派遣の協定を締結した医療機関にボランティア通訳者を派遣をしているのが現状です。
決してボランティア通訳者制度を批判するものではなく、経緯として税金を払っている定住外国人患者に対して行政として何らかの支援を行うものと思っています。
そのためにボランティアに対する教育やスキルアップをNPOなどをはじめ色々な努力があって現在の医療通訳があると思います。
昨年の
経済産業省のグレーゾーン解消法により電話通訳等が医師法や医業法に抵触されない旨が発表されました。
このことにより電話通訳や遠隔通訳が活性化すると思われます。
医療通訳者として一つの目標として
医療通訳技能認定試験にチャレンジして生活が出来るプロの医療通訳を目指して下さい。
最後に
8月に厚生労働省国際展開推進室にお伺いし、インターネットを活用した医療通訳カリキュラム基準の講座について意見交換をしました。
結果、ネットでの講座の有効性を証明すれば可能とのことでしたので、今回講座を企画しました。
この後、2017/2/18-19に東京で開催される日本遠隔医療学会のJTTA Spring Conference 2017において発表を致します。
その後、来年4月を目標にしてインターネットを活用した医療通訳カリキュラム講座を開講します。
その中では遠隔医療通訳での現場自習も行いカリキュラム基準の実習の基準の30時間もしくは20回から30回の通訳研修も行います。
講座参加者の皆様には研究のご協力をお願いします。
講座の結果は
2017/02/18(土)に行われました、日本遠隔医療学会の遠隔医療通訳のセッションで発表させていただきました。